移民が育てた世界のブラジルコーヒー
ブラジルコーヒーは移民なくして語ることが出来ません。
1727年にポルトガル海軍士官によってフランス領ギアナから持ち込まれたといわれるコーヒー。1761年ごろから本格的な生産が始まりました。その担い手は奴隷。1800年後半まで150万人にも及ぶといわれている奴隷の労働力によって世界一と呼ばれるコーヒー大国になっていきます。
1888年に奴隷制度が廃止となってからは、他国からの移民で労働力を賄うようになり、日本も1908年笠戸丸で781人の日本人が移民していきました。
スペシャルティコーヒーへの歴史の転換点とも言われるブラジルグルメコーヒーコンペティション(のちにCup of Excellenceへ発展)以降、品質に加え環境・社会にも配慮した生産活動によって今なお世界をリードしています。
ブラジルコーヒーの特徴
酸味が少なく苦味とコクがやや強い、ナッツやチョコレートのような風味が特徴です。
他の生産国に比べ、農園の場所の標高が少し低めで豆質が柔らかく酸味が穏やかになります。火の通りもいいのでコクがつきやすい豆です。
総じてバランスがいいため、ブレンドのベースとしてもよくつかわれるコーヒーです。
・ブラジルコーヒーの等級
【完璧な豆というのは存在せず、No.1はありえない】という理由からNo.2が最高とされています。
品種
ブラジルで栽培される品種として大きくわけられるのは
・ブルボン
アラビカの二大品種と呼ばれ甘みと酸味のバランスが良く、まろやかでコクがある。
・ムンド・ノーボ
ティピカ近縁のスマトラとブルボンの自然交配種甘みと苦味のバランスが良く、酸味少なめ。
・カトゥーラ
ブルボンの突然変異種。渋みが感じられ豊かな酸味のあり味わい。
・カトゥアイ
ムンド・ノーボとカトゥーラを人工交配品種で、軽やかで甘みのある風味が特徴的。
その他ムンドノーボから派生したマラゴジッペやアカイア、カネフォラ種とレッドブルボン交配種をさらにムンドノーボと交配したイカトゥなど様々な品種が栽培されています。
変化するコーヒー
日本人になじむ深く好まれてきたブラジルコーヒー。近年はより生産性が高く品質の良い珈琲を作る為の取組みがされ、品種交配の技術も進歩を続けています。またプレミア性を持たせるため従来のウォッシュド、サンドライの精製方法に加えてアナエロビック等の発酵方法も積極的にとり言えれられています。
その一方で世界最大の熱帯雨林アマゾンの開発による温暖化の影響、近年の海水温度上昇によりエルニーニョ発生、水害、冷害、かんばつの繰返しによりブラジルのコーヒー栽培も苦難を強いら、それまで栽培していた地域を離れ新たな土地を開拓、新しい豆を作り出す取組みをはじめた農家もふえてきました。
いずれ元々の品種は姿を消し、ブラジルコーヒーも大きく様変わりしていく事が考えられます。