伝統を守りながら進化を続けるエチオピア

アラビカコーヒー発祥の地であり、その豊かな香りとコクのある味わいが世界中の愛好家から支持されてきたエチオピア。2000年代、スペシャルティコーヒーの台頭の中でイルガチェフェ地区が注目を集め、2020年からはCup of Excellenceが開催。近年は小規模農家等高品質な豆を生産し、市場では大きな変化が起こっています。

名前の由来

モカには「モカ・マタリ」を代表とするイエメン産と、「イルガチェフ・モカ」などを代表とするエチオピア産があります。
「モカ」はイエメン共和国の紅海に面した西海岸の港町の名前です。
1454年頃、イエメン国アデンのイスラム教の宗教学者・ザブハニーからメッカを中心にイスラム教世界に瞬く間に珈琲を飲むという習慣が広がりました。次にオスマン・トルコ帝国に広まり、エジプトのカイロ、アレキサンドリアからイタリアのヴェネチアなどヨーロッパに広まり市民権をえました。
17世紀の後半になると、オランダは植民地であるジャワ島にイエメン産モカ・コーヒーを植樹して、コーヒーを世界的な商品としました。
こうして世界各国で、コーヒー栽培が行われブラジルがコーヒー大国としての地位を確立する頃にはモカコーヒーの需要が激減。
19世紀終わりには、モカの港は廃港同然となり、世界に向けたコーヒーの輝かしい輸出港としての歴史を閉じることになりました。
現在、イエメンではアデンの港と、紅海に面したホデイダの港。エチオピアではジブチの港がコーヒー輸出港となっています。


銘柄

【エチオピアモカ】
モカシダモ

エチオピアコーヒーの中でも代表的な存在のブランドです。独特の香りとなめらかな酸味と甘くまろやかな味わいが特長で、味のアクセントにもなるので、ブレンドにもおすすめです。

モカハラー

標高2,000mの高地で栽培されており、火山灰による恵まれた土質、標高の高さと日当たりの良い斜面、日中の寒暖差など、 栽培の好条件が揃っています。
モカハラーは通常ロングベリーに分類されますが、大粒のものはボールドグレインに分類され、高級品として扱われます。ボールドグレインに分類されるモカハラーは、酸味がよりマイルドです。

モカイルガチェフェ

フルーティーで芳醇な香りと甘さが魅力的なブランドです。ゆっくりと時間をかけてコーヒーの実を熟します。時間をかけることで、甘みの強い、美味しいコーヒーの実になるのです。エチオピアの最上級豆で、ヨーロッパを中心に輸出されています。水源が豊富なため水洗式の精製が多く、クリアな酸味があるのも特徴です。
ゲイシャ
パナマ産のゲイシャが有名ですが、もともとエチオピアの西の果てのベンチ・マジ(Benchi-Maji)地区のジャングルの中にあるゲシャ村で発見された野生種です。花のような香りに酸味と甘みが特徴的な、紅茶を思わせるような味わいのコーヒーです。柑橘系のフルーツのようなフレッシュな酸味とはちみつのような甘みで、飲み終わった後も長く余韻が続きます。2022年の国際オークションでは世界記録を更新して落札されるほど人気の高いコーヒーとしても知られています。

イエメンモカ
モカマタリ
イエメン産の有名なブランドです。南アメリカや東南アジアで栽培されているコーヒーの多くは、元はイエメンから運び出されたものです。世界のコーヒーの母といわれ歌にも歌われるほど歴史ある有名な豆です。さわやかな酸味と果実のような甘い香りが特徴で、日本でも人気があるコーヒー豆です。
イエメンのコーヒーは山岳地(標高1,000m〜3,000m)の斜面を利用した段々畑やワジと呼ばれる谷周辺で栽培されます。大農園はありません。山岳地が誇り高き部族民の領地であり、彼らが先祖伝来の地を他人に売ったりしないため零細な農園がコーヒー栽培を存続させています。農民は自分の畑の一部でコーヒーを作り、残りの部分で主食のヒエ、キビ、そして野菜などを作って自給自足の生活を送っています。

エチオピアコーヒー